アメリカで仮想通貨投資してる人のためのタックスリターンメモ

仮想通貨の確定申告

仮想通貨(暗号通貨)の確定申告 in USA

アメリカでの確定申告の期日が迫ってきました。

  • 4月15日:多くの州でのタックスリターンまたはエクステンション申告期限日
  • 4月17日: メイン州、マサチューセッツ州でのタックスリターン期限日
  • 10月10日:エクステンションのファイリング期限日

今日は、アメリカでビットコインや仮想通貨投資をしている方向けにタックス・リターン情報をまとめました。

あくまで一般的な情報をまとめただけであり、税金のアドバイスではありません。必ずCPAに確認を取ってください。

暗号資産の税金きほん

ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)は、IRSによってcurrencyではなくpropertyとして扱われ、税金の対象となります。キャピタルゲインとロスのルールが適用されます。エアドロップやリウォードなどで無料でもらった暗号資産も収入の対象になります。詳細はIRSの暗号資産に関するFAQを見てください。

暗号資産(仮想通貨)が登場した時は、中央政府に規制されない分散性や、匿名性が大きな魅力でした。しかし、マネーロンダリングなどを防ぐために各国は規制を急ぎ、アメリカの国税局のような存在であるIRSは、各企業に利用者の個人情報を集め、米国居住かどうか、米国市民かどうかを聞き取ることで、税金の対象になるかどうかを把握するように求めています。このプロセスは英語ではKYC(Know Your Customer)と言われます。米国で暗号通貨の取引所やウォレットを提供する事業者は新規ユーザーに対し上記を確認し、サインアップ時にSSNや身分証明書のアップとセルフィ―の提出が求められます。

正直面倒臭いですが、アメリカに住んでいるならば、IRSは絶対敵に回してはいけない存在であることはご存じのはずです。しっかりと税金について学び、節約しながらも、納税を忘れないようにしましょう。

※以下の情報は税に関するアドバイスではありません。税金については必ず専門家に相談してください。

暗号資産にかかる税金

暗号資産は、通常の試算と同様に以下のような税金がかかります。

・インカムタックス
・キャピタルゲインタックス

税率は試算を保有していた期間によって変わります。一般的に1年以内の短期キャピタル・ゲインか、1年以内の長期キャピタル・ゲインかで税率が変わり、後者の方が低い税率となります。

  • 短期キャピタル・ゲイン(Short-Term Capital Gain): 税率10~37%
  • 長期キャピタル・ゲイン(Long-Term Capital Gain): 税率 0~20%

※連邦税(上記に加えて州税がかかる可能性があります)
※実際の税率は収入レベル(AGI:W2,1099など全てを合算し、控除するなどして調整をいれた金額)とファイリングステータス(世帯主かどうか、夫婦合算で申告するかどうかなど)によって決まります。詳細はIRSのサイトで確認してください。
※暗号資産に限らず、あらゆるキャピタル・ゲインについての節税方法は様々な手法が紹介されています。こちらは改めて紹介します。

NFTの課税

NFTは原則トークンと同様売却損益を確定申告で報告しなければいけませんが、トークンと違う方法で課税される部分があります。まず、NFTは今後propertyではなくcollectibleとして扱われる可能性があるとIRSによって示されています参考)。これによって税率が変わる可能性があります。collectibleは、たとえ長期で保有していたとしても高い税率(最大28%)が課税される可能性があります。今後の動きを見逃さずに!詳細は、IRSのサイトでご確認ください。

また、プロのクリエイターで、自分の作成したNFTをMintして利益を得ている場合、ここにSelf-employment taxが掛かってくる可能性があります。詳細は、必ず税の専門家に相談してください。

税金のかかる仮想通貨取引

ビットコインなどの暗号資産を購入しただけでは、税金はかかりません。つまり、ビットコインを購入しただホールドしているだけであれば税金はかかりません。

しかし、仮想通貨をステーキングして利回りを得たり、売却して利確したり、別の仮想通貨に切り替えた時に、キャピタル・ゲイン税がかかります。またまた、自分のウォレット間の送金だけなら税金はかかりませんが、他人のウォレットに送金した場合には「贈与」として税金の対象になります。エアドロップやファーミングなども、インカムタックスとなります。

具体例は以下のとおりです。

  1. 暗号資産を売った時
  2. 暗号資産を使って、グッズやサービスを購入した時
  3. 違う暗号資産にトレードした時

例)ビットコインを$10kで購入していた時、

  1. ビットコインを$15kで売却 → 5kの利益
  2. ビットコインを使って$20の車を購入 → 10kの利益
  3. ビットコインを使って$50k分のイーサリウムを購入 → $40kの利益

一番最後の通貨間のトレードは、直観的には利益を得た感じはしないのですが、現在のアメリカの税制上はUSDに換算して金額が評価され、課税されます。これが暗号資産の確定申告が複雑化する原因です。

暗号資産での損失計上

暗号資産での損失はキャピタルゲインと相殺することが可能です。たとえ暗号資産で利益が出ていなくても、この損失計上は可能です。

暗号資産による損失はキャピタルゲインを無制限に相殺できます。利益に対して支払う税率は、短期(10~37%課税)か長期(0~20%課税)かによって異なり、多額のキャピタル・ゲインを得た場合、損失計上を利用することで、多額の税負担を回避できる可能性があります。

インカムタックス: 税率にもよりますが、経常利益は10~37%の間で課税されます。年間の所得を3,000ドル全額損金算入した場合、節税額は最も低いブラケットで300ドル、最も高いブラケットで1,110ドルとなります。損失の上限は2024年3月現在で$3,000(既婚者が別々にファイルする場合は$1,500まで)です。上限を超える損失については、将来に繰り越すことができます。

損失を申告するためには、実際に値下がりした暗号資産を売却して損失を確定させることが必要です。つまり「含み損」が発生しているだけでは不十分です。

暗号資産のキャピタル・ゲイン計算方法

キャピタルゲインの簡単な計算方法はこちら。

売上高 – コストベース

コストベースとは、暗号通貨を取得するために支払った金額です。一方、売上高は、暗号通貨を処分した際に受け取った金額です。シンプルにその差額が、暗号通貨取引の利益または損失となります。

几帳面な方はExcelとかでその都度取引金額を記録しておくと楽かもしれません。もし記録をしていなかった方は、暗号資産の取引所(CoinbaseやCrypt.com)からtransaction recordを取り出し、過去1年分で「売却して得た金額」から「購入金額」を差し引けばOKです。

しかし暗号通貨と法定通貨とのシンプルな売買ではなく、異なるコイン間での取引を行った場合は計算が複雑になります。

暗号通貨の確定申告サポートツール

以上のように、基本的には自分でそれぞれのサービスにログインして当該年の取引記録(transaction record)を引き出し、計算すれば確定申告の準備は完了です。しかし、複数の取引所を使っていたり、暗号通貨間の取引をしたりしていた場合、計算が複雑になるため、暗号資産の確定申告をサポートしてくれるサービスがあります。

Coin Tracker
Coin Trackerでは様々な取引所、ブロックチェーン、そしてウォレットをつなげて確定申告の準備をすることばできます。無料プランもあるので、まずはこれで試してもいいかもです。

Token Tax
Token Taxでも、様々な暗号資産サービスとつなげて納税書類を準備できます。ソフトウェアというだけでなく会計事務所サービスも提供しており、全てを任せられるとうたっています。

キャピタル・ゲイン申告のためのフォーム(8949 & 1040)

全ての取引記録を取り出した後はIRSのフォーム8949(Sales and Other Dispositions of Capital Assets)を使って申告します。Part 1がShort time、Part 2がLong-termのキャピタル・ゲインの申告書となっています。

そして、この金額をスケジュールDに記載すればOKです。

暗号資産のインカム計算方法

暗号資産のインカムには以下の様なものが含まれます。正直個々のリウォードは数セント~数ドルの超少額のこともあると思いますが、これらのインカムは少額でもIRSに申告しなければいけません。なお金額評価は、これらのインカムを受け取ったの時価評価で行われます。

  • サービスやグッズの対価として受け取った暗号資産
  • 懸賞で当選した暗号資産
  • 招待リウォード・ステーキングなどで得たリウォード
  • エアドロップ・ファーミング・Learn to Earn系のリウォード
  • ハードフォークで得たトークン
  • リサーチスタディーの参加リウォード

取引所では、以上のようなMISC incomeのリストを用意してくれるところがあります。

取引所(Coinbase, Crypt.comなど)から1099フォームが来ていない場合

コインベースなどの取引所は利益が$600以上でないと、1099フォームを発行する義務がありません。

しかし1099フォームがないから申告しなくていいわけではありません。暗号資産の取引をしている場合は必ず自分で利益・損失を計算して申告する必要があります。

暗号通貨関連銘柄

直接暗号資産に投資すると、以上のようにいろいろと確定申告が面倒なので、そういう方は、暗号資産に関する株式に投資するという方法もあります。

Bitcoin ETF

2024年1月、SECはBitcoin ETFを承認しました。Fidelity, ブラックロック、Invescoなどの大手証券会社がETFを出しています。これらのETFはビットコインの値動きと連動しており、金ETFなどと似ています。

  • iShares Bitcoin Trust (IBIT)
  • Fidelity Wise Origin Bitcoin Fund (FBTC)
  • Invesco Galaxy Bitcoin ETF (BTCO)

その他のブロックチェーン銘柄

暗号資産銘柄(ブロックチェーン銘柄)と言われているのには以下の様な銘柄があります。詳細はまた改めて紹介します。

  • Nvidia(NVDA)
  • CME Group (CME)
  • PayPal Holdings, Inc. (PYPL)
  • Block Inc. (SQ)
  • Interactive Brokers Group Inc (IBKR)
  • SoFi Technologies Inc (SOFI)
  • Coinbase Global (COIN)
  • Marathon Digital (MARA)
  • MicroStrategy Incorporated (MSTR)

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